平成28年7月1日から伝統ある当教室の第4代主任教授に就任いたしました。私は平成2年に鳥取大学医学部を卒業し、当教室へ入局しました。これまでにドイツ連邦共和国Hamburg(ハンブルク)大学附属病院脳神経外科において、Luedecke教授の指導のもとで間脳下垂体腫瘍の外科的治療について学び、またアメリカ合衆国Duke(デューク)大学、Carolina(カロライナ)研究施設では、福島孝徳教授のもとで最先端の頭蓋底外科手術について研修する機会を得ました。これらの留学経験を活かし、私自身は間脳下垂体、頭蓋底部の脳腫瘍や三叉神経痛・顔面痙攣の外科的治療などを専門としています。
現在、当科では、脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、脊椎・脊髄疾患、中枢神経先天奇形疾患などを対象に診療を行っています。なかでも脳腫瘍手術や脳血管内治療では、中国四国地方でトップクラスの症例数、治療成績を誇っています。国内ではまだ限られた施設でしか行われていない、耳鼻咽喉科との合同による内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍・頭蓋底腫瘍摘出術を行っており、さらに低侵襲な手術が可能となっています。今後は、耳鼻咽喉科、内分泌代謝内科、小児科、女性診療科、泌尿器科、神経放射線科などと連携し、臨床のみならず研究、教育にも力をいれ、Pituitary Center of Excellence (COE)を設立し、中国四国地方での中心的役割を果たし、さらに多くの紹介患者を受け入れていきたいと考えています。悪性脳腫瘍では、ナビゲーションシステムを導入し、術中脳機能モニタリングを駆使した最先端の手術を行っており、手術後の放射線治療、化学療法を含めた集学的治療により、患者さんの生命予後の改善がみられています(担当:神部講師)。薬剤抵抗性の難治性てんかんやパーキンソン病に対する外科的治療や三叉神経痛、顔面けいれんに対する微小血管減圧術(神経減圧術)も積極的に行っており、特に、微小血管減圧術(神経減圧術)では、通常よりも小さな開頭の鍵穴手術を行っており、術後成績が良く、患者さんの満足度も高くなっております。脳血管障害に関しては、脳神経血管内治療指導医(坂本准教授)を中心に的確な治療方針に基づいたチーム医療を行っていますので、これに若手医師が積極的に参加できる体制を作り、神経内科、神経放射線科、放射線部と、より緊密な連携がとれるよう脳卒中センターの開設に尽力し、チーム医療の輪をさらに広げていきたいと考えています。
救急症例も多く、少々オーバーワーク気味ですが、『すべてを患者さんのために』捧げる覚悟で教室員一同、頑張っています。
脳神経外科主任教授 黒﨑 雅道