患者さまへ

脳血管障害

脳血管障害の外科手術

1 出血性脳血管障害
  1. 脳出血:急性期に頭部CT(24時間撮影可能)にて診断を行い、開頭血腫除去術、定位的血腫除去術、神経内視鏡による血腫除去術,保存的加療を患者様の病状に応じて選択します。状態が落ち着きましたら早期にリハビリテーションを行い(リハビリテーション部との連携も週1回のカンファレンスで行っております)早期機能的回復を行います。
  2. くも膜下出血:急性期に頭部CTを撮影し、くも膜下出血と診断されると、同時に出血源を探るために3D-CTA(造影剤を用いた検査です)にて動脈瘤の部位、大きさ、形などを調べ、脳血管外科担当医と脳血管内治療担当医が年齢、重傷度、動脈瘤の部位、形状、大きさなどを検討し、どちらの治療が最適か判断して治療を行います。
    くも膜下出血後の脳血管攣縮の治療に対しても当診療科独自のプロトコールを作成し、治療成績の向上に努めております。
  3. 未破裂脳動脈瘤:当院では主に80歳以下の5mm以上の脳動脈瘤に対しても破裂予防のため積極的に治療を行っています。患者様ごとに開頭クリッピング術と脳血管内手術(瘤内塞栓術)の両者のうちより適した治療法を選択しています。
    脳動脈瘤治療のいま(リンク: http://www.brainaneurysm.jp/

出血性脳血管障害

2 閉塞性脳血管障害
脳梗塞

生活習慣などによる動脈硬化性変化により頚動脈・脳動脈が狭窄・閉塞すると脳の循環障害がおこり、その血管の栄養する領域に応じた神経症状が一過性もしくは永続性に現れます。
発症早期の脳梗塞であれば繊維素溶解剤であるrt-PAの静注にて治療を行います(急性期は高次治療病棟で治療を行います)。
脳梗塞慢性期の患者様には再発予防の外科的治療を考慮します。
頸部内頚動脈狭窄症に対しては頸動脈ステント留置術(CAS)もしくは頚動脈内膜剥離術(CEA)を病変部位の性状, 患者さんに応じて選択し治療を行います。

3 頭蓋内閉塞・狭窄性脳血管障害
頭蓋内-頭蓋外バイパス術

頭の中や頚部の内頚動脈、中大脳動脈といった太い血管に高度の狭窄・閉塞を認める場合は、脳血流の低下を認め、脳梗塞を発症するリスクがあります。通常はまずは抗血小板剤という血液をさらさらにする内服治療を開始します。内服薬で予防効果が不十分な場合や、MRI・脳血流検査で脳血流の低下を認めている場合はバイパス術を行うことがあります。頭部の皮膚を栄養している血管(浅側頭動脈 STA)を脳の表面の血管(中大脳動脈 MCA)に直接縫い合わせる手術(浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術 STA-MCAバイパス術)です。1mm前後の血管に縫い合わせることもあり、顕微鏡を用いて行います。効果的であり、脳表の血流を確実に改善出来る利点はありますが、血管径が細いこともあり、繊細な技術を必要とします。
当院には日本脳卒中の外科学会技術認定医が在籍しており、習熟した脳神経外科医が行います。

脳表の中大脳動脈

浅側頭動脈中大脳動脈バイパス

蛍光色素による血流の開存の確認

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